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蕎麦とルチン [草花]

蕎麦の原点

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091004
箕輪は伊那盆地の西側、少し離れた木曽駒の麓にある。
蕎麦の白い花よりも桃色~赤色の花が目立つ畑がある。
「赤そばの里」と宣伝されているところを訪問した。
蕎麦の原点はヒマラヤ山脈の麓の荒地に生育したものが中国を経て、
日本に伝わったと言われるが、
日本の在来種も見出されている。

氏原暉男先生(信州大名誉教授)が原種を持ち帰って、
品種改良して今日の赤蕎麦になった。
さらに、氏原先生は、現地で貧困がもたらすケシの栽培を
蕎麦の栽培に切り替えたことでも有名である。
是非、先生の著書をご一読下さい。
http://sobaweb.com/pg51.html
http://kaken.nii.ac.jp/ja/r/60021060

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蕎麦にはルチンというポリフェノールを含むと書かれている。
しかし、その量は多くないが韃靼蕎麦には、多く含まれる。
(普通の蕎麦:0.01%、韃靼蕎麦:0.5%、因みに蕎麦茶には0.9%)

純粋なルチンは淡黄色であるがケルセチンの色であり、糖の部分の色ではない。
鉄製のものと接触しておくと暗褐色になるのは錯体形成による。(参考:下の調査3)

rutin.png

古くはルチン(3位にGlc,Rha結合)やヘスペリジン(7位にGlc,Rhaが結合)の
フラボノイド配糖体は、ビタミンPといわれていたが、現在、ルチンはビタミンではない。
生理反応として: 毛細血管を強化し、血管透過性を抑える、
血中コレステロール値や血流を改善する、
抗アレルギー作用を持つ、アトピー性皮膚炎を改善する、
発がん抑制作用があるとされているが、
その他、色々な作用が挙げられている。

【調査1】
UCB発ガン試験ではポジティブな悪い結果は出ていない。
http://potency.berkeley.edu/chempages/RUTIN%20TRIHYDRATE.html

【調査2】
ルチンはケルセチンと同じく、活性酸素を促進するカタラーゼの活性阻害をすることが、
明らかにされ、抗酸化剤としての有効性を、
FlavonolやFlavone類にはあるが、FlavanolやFlavanone類にはない。
この点で緑茶のそれとは異なる。
N. Doronicheva ら、Bio. Pharm. Bull., 30, 213-217 (2007).

【調査3】
ルチンは遷移金属イオンと
1:1または1:2の錯体を4位のカルボニルと5位のフェノールの間で形成するが、
3’、4’のフェノールと錯体を形成することもESI-MSの結果から、提案されている。
Y. Baiら、Anal. Sci., 20, 1147-1151 (2004).

【調査4】
また、マウスの実験から、
ルチンはセロトニンの分泌を抑えるトランスポーターの作用を抑制して、
セロトニンの濃度が低くなるうつ病患者に、
処方される抗うつ剤の作用を示すという報告もある。
D. G. Machadoら、Eur. J. Pharmacol., 587, 163–168 (2008).

高地の蕎麦は紫外線を防止するために、ルチンの産生量を増やすとされている。
それは茎の色を見るとわかる。赤そばの畑には赤い茎のそばが多い。

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また、赤そばの畑をよく観察すると、蕎麦が良く生育する場所と生育しない場所がある。
特に、山蔭の部分は悪い。
蕎麦の生育には、日当たりが良く、水はけがよいところとされている。
ただ、瓦礫などあっても、前2条件が合えば良いと言える。

下の写真には生育の違いを示している。
手前の畑には丈が短く、疎らになった蕎麦が見られる。明らかに生育不良である。
2sPICT0120.jpg

おわりに、
蕎麦の赤い花が、山から下りてくる霧交じりの冷気に晒され、その結果、霧下蕎麦を生み、
箕輪でその味を楽しむことができるのは、花が終わり、観光客の訪れることのない頃であろう。
赤い花を思い浮かべて、新蕎麦を食したくなる。(アレルギーの方には無思慮で失礼します)

赤蕎麦写真集:
http://pht.so-net.ne.jp/photo/usuzumi/albums/169166
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