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ツマグロヒョウモンの訪問 [蝶]

ツマグロヒョウモン

地球温暖化が原因となる生態系の変化は一連性があります。
しかし一つの事象を捉えて、地球の温暖化が起こっていると言うのは、
論理的なつながりが乏しく、本当かなと思えることに時折、出会います。

昨日の報道ステーションで、熱帯にある毒キノコであるオオシロカラカサタケが日本にも現れ、
日本の熱帯化の指標となっていると報じられました。
熱帯環境に適応できる毒キノコが熱帯・亜熱帯でない日本で見られたことが、
地球全体の温暖化と結び付くのは、可能性は高いが、論理的には厳密性に欠ける議論でしょう。
すなわち、一つの事象を捉えて全体を肯定する論理的不完全性があります。
しかしながら、仮説的推論としては帰納的に否定はできないことになります。

話題をもっと多角的に調べてみましょう。

この報道の表現は、「毒キノコ」という「ツカミ」で始まっています。
では、オオシロカラカサタケについて、何も詳細を言っていません。
限られた時間を理由に、詳細を明らかにしないのはかなり意図的です。

そこで、オオシロカラカサタケについて調べてみましょう。
化学的に詳しく調べた慶応大の山田らの報告があります。
 第46回天然有機化合物討論会講演要旨集575-580(2004)
毒性について、23kDa(分子量2万3千)の亜鉛を含む金属タンパク質が強い毒性を示す結果を得ています。
このタンパク質はデューテロリシンというメタロエンドペプチダーゼ(酵素)の範疇に属すると、
相同性(タンパク質のデータベースから類似性をコンピュータを用いて調べる)から判定されました。
また、Yokoyamaは14年前にオオシロカラカサタケの日本での広がりをすでに指摘しています。

報道のやり方として、毒に対する鋭敏な反応を示す日本人の関心をとり、
今年になって急に温暖化が進んだように喚くような報道手法をとっています。
この様な種類のやり方に我々は安易に乗りたがる風潮があります。

これに対して、地球温暖化の欠片を捉えてヒステリックに述べ立てる背景をもう少し調べ、
あまり日の当たらない研究が過去においてすでに報告されていることを知り、
研究者の遺産を大切に、敬意を表する姿勢が欲しいものです。

さて、本来、成虫として越冬をするのが厳しい熱帯の蝶が、太平洋側で毎年見られことがあります。
ツマグロヒョウモンは熱帯地方の蝶です。普通に日本にいる蝶とこの蝶は異なり、
年4,5回現れます。(多化性:昆虫が1年に3回以上の世代を繰り返す性質のことをいう)
また、幼虫や蛹で越冬します。

庭に、羽根のひどく破損したツマグロヒョウモンを見つけました。

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以前のブログ(http://kz--t2.blog.so-net.ne.jp/2009-07-24)以外に下記のようなことがあります。
ツマグロヒョウモンはスミレに産卵するため、スミレの愛好者には嫌われます。
黒に赤の筋の入った毛虫(幼虫)に丸坊主にされるからです。
スミレはそれでも繁殖するには巧妙な戦略を持っています。
スミレは閉鎖花(花冠が開かず、自家受粉してしまう現象のこと)であり、
種を確実に(100%)受粉できます。しかし、種子を拡げて撒く事ができません。
それを運搬するのはアリです。
アリは卵と同じくらいの大きさの種子にある脂肪酸をいただくため、
食料保管のため種子を巣に運びます。
これがスミレの戦略です。つまり、アリに種を運ばせ繁殖を拡げるのです。
この様子を詳しく書かれた本があります。
著者: 多田多恵子 「したたかな植物たち: あの手この手の◯秘大作戦」
 (株式会社SCC ¥2200)

子供の頃、蝶の採集をして、図鑑で調べた時に、
普段、林の中で良く見かけるキマダラヒカゲが雑草のように見え、
お目にかかれないツマグロヒョウモンが貴重品に思えた。
毒蝶を擬態するこの蝶が何度も庭で見かけると、
かつての貴重品が頻繁に訪れ、裕福になった気が一時的にする。
しかし、裏返してみると、何か(環境?)と交換した結果でしょう。

追伸
ツマグロヒョウモンの来訪と
報道ステーションのオオシロカラカサタケの話題提供に感謝します。
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